内田 ヤフーはポータルサイトとして、インターネットをどんどん便利にしました無料でサービスを提供し、ユーザーはその恩恵を受けてきましたその結果、確固たる地位を築きましたが、あるときを境に、まったく別のインターネットへの入り口ができてしまったそれが急加速的に増えていますこの現象は想像できましたか
宮坂 ここまでとは正直、思わなかったですねでもiモードのときもそうでしたが、この世界は変わるときは、1年、2年で一気に変わる変わるというよりも、流れているといったほうが正しいかもしれないですから新しいハードウェアでネットの使われ方が変わるというのはよくわかりますし、たぶん今後もあると思います
内田 ヤフーはスマートフォンに対して後れを取ったという記事をみますが、ここはどうなんでしょう
宮坂 ヤフーはすごく遅れたといわれますが、月に1回、ヤフーのスマホサービスを使う人は、スマホユーザーの約8割いて、これはそんなに悪い数字ではないと思いますヤフーオークションの数字も伸びています派手なサービスがないので、ヤフーは何もやっていないというイメージなんでしょうただ、ロケットスタートではなかったのは確かですし、ソーシャルメディアには出遅れましたからねそこはちゃんと受け止めてやっていこうと思います
内田 ソーシャルメディアはユーザーにとってまったく新しい刺激だったと思いますスマートフォンとも親和性が高かったので、買い替えをきっかけに多くの人が始めましたトレンドでいうと、ソーシャルメディアに人が集まり、情報が集まり、そこにお金が集まっているという状況ですが、ヤフーはどのように関わっていきますか
宮坂 ヤフーでもソーシャルグラフを自前でつくろうとして、「ヤフーデイズ」を立ち上げるなど、ずっと試行錯誤を続けてきましたこれからも試行錯誤は続けていきます最近、素晴らしいなと思ったのはLINE「国産でもああいうものを生み出せるのか」と、日本のIT業界にものすごく勇気を与えたと思います「シリコンバレーに行かなくても、東京でできちゃうんだ」と僕らにもああいうものを生み出せるかもしれないと思わせてくれたのであきらめずにやりたいでも目先としては、フェイスブックと連携するなど、他社のソーシャルグラフの上に何かコンテンツを流すことも悪くはないと考えています
◆ユーザーの課題を発見する使命◆
内田 いま、ネットビジネスにおいて、成功のキーワードは「データ」という流れになっていますアップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、ツイッターこそが覇者であり、彼らのもっている莫大な個人情報こそが資産だとヤフーにも個人情報はたくさんあると思いますが、データ分析についてはどうお考えですか
宮坂 僕らは課題解決エンジンですから、個人情報が、顧客や企業、社会に対してどのような課題を解決する可能性があるのかは考えるべきだと思いますただ、情報自体はもっていてもコストにしかなりませんそれが消費者や生活者の不便を解決したときに、初めてバリューを生んで経済的対価が付くという順番だと思いますデータはたしかにたまりますでも、それを使って何か具体的な課題解決ができるかというと、そんなに簡単な話ではないと思います
内田 IT業界は次々と新しいワードが出てきて、落ち着く暇がないですね
宮坂 そうですね以前は流行りそうなサービスを片っ端から探していましたが、それを追いかけるとヘトヘトになるだけでしたそこで、「変わるもの」より「変わらないもの」にフォーカスしたほうが大事だと思うようになりましたヤフーは課題解決エンジンという自分の価値、ミッションをしっかり守っていきたいと思いますね
内田 「課題解決エンジンとしての課題」は何ですか
宮坂 課題は見つけないと解決しようがないので、まずは課題を発見することですねお客さんの課題の発見というのは非常に人間的な話で、困っている人に寄り添ってあげる優しさとか、共感力、深い洞察力、そういうものが必要ですそういった感性をもつ社員を育てていきたい
内田 解決するべき課題を発掘していく一方で、ヤフーはすでに150ほどのサービスを展開していますスマホでのサービスを展開していくにあたって、これは「爆速」の重荷になってきませんか
宮坂 そうですね組織論的にいいますと、これまでは150のサービスを一つの巨大な戦艦に乗せて重厚に進んできましたが、環境が変わって、「スピード」が強さになり、生き残るための重要なスキルにもなってきました今後は重い船1隻ではなくて、小回りの利く船を150隻つくるイメージですそれぞれ船長を決めて、「航路は任せた目的地はスマートフォン、待ち合わせ場所は201X年、利益は2倍だよ」と
内田 それはすごい変化ですねでも途中沈没したり、遭難したりする船も出てきてしまうのではないでしょうか
宮坂 100勝50敗ぐらいで行ってくれれば悪くはないと思います(笑)僕には、井上のような強烈な何かがないので、150全部を存続させるのは無理だと思いますが、違う方法で生き残りを考えていかなければなりません
内田 同業他社とだけでなく、船長同士の戦いにもなっていきますね
宮坂 そうですね自主独立で、集中型から分散型で、みんながワーッと行く感じの組織にしたいんです
内田 いままで大きい戦艦に乗って安心しきっていたのが、これからはおまえたちが漕ぐ競争だとこれは社員の方たちにとってはおそらく衝撃で、本気で頑張らないとまずいなとなってきますね
宮坂 そこが狙いですねやはり社内が競争社会になると思います安心といわれましたが、社内はだいぶ変わっていくと思いますので、競争が苦手な人は出てしまうかもしれませんでも、僕はヤフーをコンペティションな世界にしたい走るのと一緒で、いわゆるジョギングは楽しいけど、やはりレースに出る喜びってありますよねあいつには負けたくないとか、去年の自分に勝ちたいというそういう世界には楽しみと達成感があります勝負事は、大の大人がムキになってやるからこそ面白くなるのです
内田 そのコンペティションのなかで、成果を挙げた人への報酬は、どのようなものになっていくのですか
宮坂 達成すればいいことがあるというようにしたいので、四半期ごとに決算を締めて、予想を上回る利益が出せればインセンティブを出していきますまた、サービスは統一された指標をもとにY1からY4まで格付けされていて、ちょうどピラミッド型になっています上に上がるほど優遇されるので、下のサービスには発破をかけています
内田 「評価の見える化」ですねわかりやすい
宮坂 僕らは「透明に不平等にやろう」っていっているんです頑張った人とそうでない人の評価が同じなんてことはありえないそこは不平等にしますよ、とそれが急加速的に増えています
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