スマートハウスという言葉をよく見聞きするようになった今ならどんなスマートハウスがいくらで手に入るのか、また住んでからはどのくらいの光熱費が節約できるのかスマートハウスの現状と、その家に住むためのコストについて、まずは一戸建てからみてみよう
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3つの電池を搭載し、非常時でも電力やお湯を供給
超高層マンションやビルが並ぶ近未来的な風景の中に、その一戸建ては建っていた積水ハウスが横浜みなとみらい21地区で建てたスマートハウス積水ハウス「観環居」だ総務省委託事業として2010年11月から2011年3月まで実施されたスマート・ネットワークプロジェクトの実証実験棟として建てられたもので、プロジェクト終了後も引き続き実験棟として公開され、各種イベントが行われている（関連記事）
延床面積226m2の2階建て住宅「シャーウッド」には、燃料電池や4.48kWの太陽光発電パネルを用いた太陽電池、8.96kWhの鉛蓄電池を搭載これら3電池をHEMS（Home Energy Management System）で連動制御する電力供給システムを備えている
日常の電力はまず燃料電池から優先して供給され、足りない分を太陽光発電や蓄電池で補うため、電力会社からの購入電力は大幅に削減される非常時でガスと一般電力の供給が止まっても、太陽光発電と蓄電池で一定の電力をまかなうことが可能だまたガスが利用できる計画停電時などは燃料電池でお湯が供給されるので、入浴もできる
家電などのコントロールはスマートフォンでもできる
住宅内の電力はリビングのテレビや玄関・キッチンのモニターなどで「見える化」され、エアコンや照明のスイッチ、温度管理なども手元で操作できる
「『見える化』する場合、数字だけだと興味がわきにくいので、お金に換算したりランキング表示するなど、楽しんで省エネできるようコンテンツを工夫していますまた家電などのコントロールはスマートフォンでもできるので、リモコンをたくさん置いておく必要もありません」（積水ハウス技術部主任・南裕介さん）
またこの家の1階には電気自動車（EV）用のガレージが設置され、室内から直接乗降できる排気ガスの出ないEVだから屋内設置が可能となり、車イスでも乗り降りがしやすいのだEVへの蓄電は太陽光発電や割安な深夜電力から行う
さらにスマート・ネットワークプロジェクトの参加企業でもある日産自動車が5月に発売した「EVパワーステーション」を導入し、EVの蓄電池に蓄えた電力を家庭用に利用可能とした日産リーフに搭載されているリチウムイオン蓄電池は24kWhと大容量なので、2～3日分の家庭電力をまかなうことができるという
プラス450万～500万円でフルスペックが可能に
では最新の設備を搭載した積水ハウスのスマートハウスを、いったいいくらで買えるのか
まず太陽光発電パネルについては、1kW当たり46.2万円の設置費用がかかり、国の補助金が同3.5万円出るので差し引き同42.7万円家庭用としては3.5～4.0kW程度のシステムが多いので、150～170万円程度が一般的となる
燃料電池「エネファーム」は約200万円だが、補助金（2012年度は予算の関係で停止中）が70万円出る蓄電池はHEMSと合わせて200万円程度補助金を差し引いた合計額は450万～500万円程度となる計算だ
「当社で施工する注文住宅の8割近くは、太陽光発電か燃料電池のどちらかを設置しています両方を設置する『グリーンファースト プレミアム』も受注全体の半数近くにまで増えてきており、光熱費がマイナスになり、収入として戻ってくるケースもありますさらに蓄電池も加えれば、電力会社からの購入電力をより少なく抑えることができますし、節電社会にも貢献します」（南さん）
ペイするためには長期のコスト削減効果を見極める必要がある
設置コストが何年でペイできるかも気になるところだ
生活スタイルにもよるが、太陽光発電や燃料電池は10年程度で「元が取れる」ケースが多いという鉛蓄電池は10年で元を取るのは難しい太陽光発電と燃料電池を含めたシステム全体として、より長期のコスト削減効果を見極める必要がありそうだ
「太陽光発電と燃料電池はここ数年で大幅に設置コストが下がっており、蓄電池を含めたフルスペックの仕様で家を建てるケースも増えています当社が宮城県で開発している住宅団地『スマートコモンシティ明石台』では、全431戸のうち2～3割はフルスペックのスマートハウス仕様となる予定ですスマートハウス仕様の住宅は外のネットワークとつなぐこともできるので、いずれは地域内で電力を融通しあうスマートシティに発展できるでしょう」（南さん）
ヤマダ電機が店頭でスマートハウスを販売
スマートハウスを商品化するハウスメーカーが増え、市場が広がりつつあるなか、ついに家電量販店でもスマートハウスを買えるようになったヤマダ電機が今年4月から、「創エネ、省エネ、蓄エネ」を標準装備したスマートハウス「G-SMART（Gスマート）」の販売を開始したのだといっても家をつくるのはヤマダ電機と提携するハウスメーカーのエス・バイ・エルなのだが
さっそく池袋駅前のLABI1日本総本店池袋に行ってみると、5階に住まい専用ブース「トータル スマニティー ライフ コーナー」が設けられていた太陽光発電パネルや蓄電池などが展示され、一見すると家電売り場のようだが、よく見ると住宅の模型やパンフレットも置いてある平日の夕方ということで店内はさほど混み合っていないが、ときおり足を止めて展示物や模型を眺め、販売員の説明を聞く人の姿も同様の販売コーナーは順次、全国のヤマダ電機店舗内に展開していくという
住宅メーカーがあまり扱ってこなかった設備をヤマダ電機の調達網を活かし搭載
「スマートハウジング（※1）に搭載する設備はこれまで住宅メーカーがあまり扱ってこなかったものが多いので、販売担当者の人材教育から始める必要がありました幸い、ヤマダ電機の太陽光発電担当者はさまざまなメーカーの製品に通じているので、連携しながら販売を始めているところです設備の設置費用に対する補助金などはエリアごとに異なるので、知識を身につけながら地域密着型の営業をめざします」（エス・バイ・エル法人営業部次長・高橋淳さん）
「G-SMART（Gスマート）」の商品内容は、太陽光発電システム、HEMS、家庭用蓄電システム、オール電化仕様、LED基本照明、電気自動車用コンセントの6アイテムを備えた企画型住宅で、リビング階段プランや和室連続プラン、オープンリビングプランなど169のベースプランが用意されているプランは顧客の希望によるカスタマイズも可能で、ユーロタイプやツートンタイプなど3タイプ6バリエーションの外観から選べる
「ヤマダ電機の調達網を活かし、スマート仕様のアイテムを国内外さまざまなメーカーからリーズナブルな価格で搭載できることが最大の強みです国内外さまざまなメーカーを選ぶこともできます」（高橋さん）
※1：エス・バイ・エルのスマートハウスは「スマート・ハウジング」と表記スマートアイテムの設置費用が14～15年で償却できる
気になる「G-SMART（Gスマート）」の価格だが、施工床面積99.35m2（30.05坪）の場合の本体価格が1860万円（税込み）となっている坪単価は61.9万円だ施工床面積が40坪なら坪単価50万円、50坪なら45万円程度で購入できるというこの価格には太陽光発電など6つのスマートアイテムが含まれており、6点セットの価格が430万円（※2）となっている
※2：プランSH98-W01施工面積99.35m2（30.05坪）の場合（ 太陽光発電システム2.3kW＋HEMS＋家庭用蓄電システム5.53kWh＋オール電化仕様＋LED基本照明＋電気自動車用コンセント＝6点セット価格430万円含む） 太陽光発電システムの搭載量はプランによって異なるが、2.3kWのシステムにHEMS、5.53kWhの家庭用蓄電システムの3点セットを搭載すると、エス・バイ・エルのオール電化住宅と比較して年間約7割の光熱費を削減できるという
「太陽光発電システムを4.03kWとした場合、旧省エネ基準の住宅と比較すると、4人家族で年間26万円程度の光熱費が節約できますさらに太陽光発電システムの売電価格がプラス6万円程度になるので、合計で年間32万円程度の節約となり、6点セットの設置費用が14～15年で償却できる計算です」（高橋さん）
建売住宅でもスマートハウスが珍しくなくなる日は近い？
スマートハウスもずいぶんと手軽に買えるようになったものだが、さすがにヤマダ電機に家を買いに来る客はまだそれほど多くはないようだ
「ヤマダ電機の店舗では通りがかりに立ち寄るケースが多いので、今のところ7割程度はリフォームのお客様です太陽光発電パネルやオール電化のシステムを購入し、一緒に自宅をリフォームするケースが多くなっています今後は住宅と家電との結びつきがますます強まることが予測されますこれからは住宅の設計時に家電もすべてご提案するといった展開も考えられるでしょう」（高橋さん）
さらにエス・バイ・エルではスマート・ハウジングの分譲事業にも力を入れており、7月には太陽光発電システムを標準搭載した建売分譲と建築条件付宅地分譲を岐阜県可児市でスタートさせたオプションでスマートアイテムの追加も可能だという
注文住宅だけでなく、建売住宅でもスマートハウスが珍しくなくなる日も近そうだ
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3つの電池を搭載し、非常時でも電力やお湯を供給
超高層マンションやビルが並ぶ近未来的な風景の中に、その一戸建ては建っていた
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